診療実績

診療内容

2006年4月から第一外科は心臓外科、血管外科、呼吸器外科、乳線内分泌外科、小児外科に細分され、各科独立して診療に当たる。各科の診療内容は以下の通りである。

心臓外科・血管外科Division of Cardiovascular Surgery

心臓・血管外科は2006年4月から心臓外科および血管外科に分離され、コンサルタント医師(教授〜講師)、フェロー(助手〜医員)、レジデント(医員〜研修医)の3人1チームとして、小児心臓、成人心臓、各1チーム、血管外科2チームの4チームの構成となった。フェローおよびレジデントは3か月ごと4チームをローテーションし、2年で修了する。コンサルタントは自ら診療し、手術を指導するが、中でも症例確保が最大の仕事である。研究や論文指導も重要な義務である。心臓血管外科専門医とフェローは必ずしも連動していないが、コンサルタントには必須の条件となる。各チームの患者数は6〜10人で、他を診る必要はないが、夜間、休日の当直は順番に担当し、他チームの患者も診る。コンサルタントは可能な限りフェローに執刀させ、レジデントにはその予備修練をさせる。問題点を改善するため3か月ごとコンサルタント対フェロー・レジデントの相互評価を行う。

教室における心臓血管外科専門医(subspecialityコース)の研修は、専門医試験に含まれるすべての領域が網羅されており、上記2年のフェロー修練中または終了後に受験資格が達成されるように計画されている。関連病院との連携も含まれる。

先天性心疾患の最近の傾向は新生児期、乳児期の心内修復と複雑心奇形型の段階的修復であり、消化器合併奇形が多いためしばしば小児消化器外科チームとの連携で治療する機会が増えている。

後天性心疾患は弁膜症が減少する一方、動脈硬化に起因する虚血性心疾患及び胸部大動脈疾患などが増加傾向にあり、これらはまた粥状硬化症を基礎疾患として下肢動脈閉塞や頚動脈閉塞を高率に合併する。そのためこれら複合病変を有する例に対する全人的な治療が必要となっており、同時または二期的、三期的手術により総合的に治療する例が増加傾向にある。疾患別治療方針は心臓弁膜疾患は弁形成、虚血性心疾患はoff-pump CABGを第一選択としている。

血管疾患は、胸部大動脈疾患では弓部大動脈置換に対しては腋窩動脈送血、脳分離体外循環下超低体温または中等度低体温法、胸腹部大動脈瘤では分節遮断による徹底した肋間動脈再建を基本方針としている。下肢閉塞性動脈硬化症(項目参照)は糖尿病の増加により重症虚血肢及び維持透析例が顕著に増え、これらの足壊疽が全国から紹介されている。下肢動脈閉塞と虚血性心疾患や頚動脈狭窄合併例が増加していることも最近の傾向である。そのため術前の脳動脈、頸動脈MRA、薬剤付加心筋シンチグラフィー(異常例には冠動脈造影)などを必須としている。これにより虚血性心疾患や頚動脈狭窄病変に対する同時/2期的手術など手術ストラテジーと術式に工夫を要する困難な症例が増加している。

血管内治療は、動脈閉塞に対するステント留置では、腸骨動脈の限局性狭窄に限定して適用し、特に末梢動脈バイパスとの併用が増えている。ステントグラフト留置術は、腹部大動脈瘤に対しては数名が指導医となって施設基準を取得し、Zenith® stent graftを用いて症例を重ねている。腹部大動脈瘤は症例を選んで、home-made deviceを特に高齢者を中心に適用している。

呼吸器外科Division of Thoracic Surgery

肺癌をはじめとする呼吸器疾患のほか、食道癌や乳癌、消化器癌も取り扱う。

呼吸器疾患では早期肺癌には胸腔鏡手術、レーザー手術を採用し低侵襲手術をめざしている。進行肺癌に対しては血行再建を併用する大血管合併切除を積極的に試みている。胸壁再建ではチタンプレートと遊離腹直筋皮弁による再建術式を開発し、良好な結果を得ている。

食道癌に対しては血行再建を併用した有茎空腸再建、遊離空腸再建を積極的に行い治療成績を向上させている。

消化器疾患は関連施設から紹介される胃癌、大腸癌等の消化器癌は呼吸器外科で取り扱う。大腸癌の鏡視下手術や、術前、術後の化学療法は集学的治療の一つとして計画的に実施され、治療成果をあげている。

乳線内分泌外科Division of Breast Cancer Surgery

乳癌は最近の治療の進歩と相俟って、当科における症例数は急速に増加しており、腫瘍グループの主要な疾患となっている。乳房温存術式の適応拡大、sentinel node biopsy、微小石灰化非触知乳癌に対するステレオガイドマーキング day surgery、個々の症例に合わせた内分泌化学療法など、global standard に則った乳癌治療を進めている。

小児外科グループDivision of Pediatrioc Surgery

半径250kmに及ぶ北海道の北半分を診療圏とし小児外科センター病院としての役割を果たしている。対象疾患は、頸部、呼吸器、縦隔、消化器、腫瘍、新生児、外傷と広範囲であるが、胸部・腹部とも鏡視下手術を積極的に実施している。新生児領域では腹腔鏡補助下にヒルシュスプルング病に対する一期的Duhamel-Ikeda手術を開発し、現在多くの施設で採用されている。また縦隔腫瘍・先天性肺疾患・腹部腫瘍・噴門形成術・鎖肛・ヒルシュスプルング病などで、標準手術に匹敵する成績と美容的好評を得ている。重度心身障害児の難治性誤嚥を伴うGERDの治療では気管喉頭分離・鏡視下噴門形成術を早期から導入し全国屈指の症例数がある。手術後の美容的配慮は多感な小児において特に重要であり、臍部を利用した諸手術、恥骨上皺襞を利用した手術、手術創管理の工夫などで成果を挙げているが、特に鎖肛をはじめとする人工肛門造設術では、全国に先駆け導入した臍部造設により瘢痕の目立たぬ術式として他の専門施設からも高い評価を得ている。小児のECMO(人工膜型肺)では旭川医科大学式の回路を開発し、低出生体重児に対してもより安全に施行可能となり、横隔膜ヘルニアや肺障害例などの緊急救命に成果を挙げている。

小児外科は外科専門医取得(卒後4年目)の必修科目であり、平成18年からの専門医試験開始に備えて、平成16年から3か月交代で1〜2名ずつ研修医を受け入れている。

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